Column



■『トモ藤田のバークリー・コネクション』 第3回
掲載誌 :  ギター・マガジン 1996年11月号

 I have a surprise fo you!
ついにTomo Fujita & Blue FunkのCDが完成しました。ぜひ聴きたいという方は、連絡をください。
住所は

TF PRODUCTIONS

P.O. BOX468,
DEDHAM, MA 02026
U.S.A.

です。このコラムの感想も一緒に送ってくれると嬉しいです。

 今月は僕が行っている授業内容などについて書いてみたいと思います。僕はこの学校でギター科を中心に教鞭をとっています。基本的には毎学期、14〜18人の生徒にプライベート・レッスン形式で教えています。レベルとスタイルは生徒によって様々ですが、僕の場合はファンク、ジャズ、ブルース、フュージョンといったところが中心です。また、最近では僕本来のスタイルのように、いくつかのスタイルを混ぜたものをやろうとする生徒も増えてきました。

 プライベート・レッスン以外にも、僕は1回1時間、週2回の授業を2種類担当しています。
ひとつはGuitar Performance Skillsで、これはおもに、与えられたコードとメロディをプレイすることと、パフォーマンスに必要な基本テクニックや、指番上のハーモニーなどについて学んでいくものです。もうひとつはGuitar Styles Skills Labsで、あるひとつのスタイル(ジャンル)を選び、それについて詳しく勉強していくもの。僕はその中のファンク、ブルース、ロックのクラスを担当しています。具体的には、そのスタイルを持つ重要なアーティストの歴史や、その人がどの方面から影響を受けたかといったことを教えます。サウンドに関しては、僕の場合、そのスタイルの重要と思われる演奏を編集したSource Tapeなるものを作って、学校のある場所に行けば、生徒が誰でもテープをダビングしてもらえるようになっています。

 例えばブルースのテープならば、90分テープ2本にわたって、42人の重要アーティストの有名な曲を収録してあります。しかも、20年代から年代順に入れてありますので、どのようにブルースが発展してきたかを簡単に把握することができるのです。こうした授業によって、例えばスティービー・レイ・ヴォーンのスタイルが、どのような人に影響を受けて形成されていったかなどということが理解しやすくなります。 何よりも大切なことは、どんなに名人と呼ばれる人でも、最初はマネから始めたのであって、それが年月とともに自分のものになり、やがて独自のスタイルを築き上げるのだということです。一方ファンクの授業でもSource Tapeを用意しています。 こちらには有名アーティストの演奏とともに、僕自身のデモンストレーションも収録して、グルーブの出し方からレイドバック・フィーリングのつかみ方まで勉強できるようになっています。

 このテープはただ聴いてフレーズをコピーしてもらうだけではなく、ファンクやブルース独特の『言葉』に慣れてもらうという意味でも重要です。そして授業のほうで重要アルバムなどを紹介します。

 更に僕は、アンサンブルの授業も持っています。それは「ファンク・アンサンブル」「ブルース・アンサンブル」「スティーヴィー・レイ・ヴォーン・アンサンブル」という3つです。普通、バークリーのアンサンブルの授業では、譜面を読むレベルが重要視されるのですが、僕の授業ではそれ以上に実際の演奏能力を大切にしている点が、他の先生と違うようです。具体的にはバンドのグルーブ感、ソロの盛り上げ方、フィーリングを込めたプレイ、楽器間のコミュニケーション法などに重点を置きます。従って、授業ではほとんど譜面を使わず、代わりにSource Tapeを使います。この方が、グルーブを大切にしたり、フィーリングを重視する音楽にとって、ナチュラルな学習ができると思うからです。もちろん、譜面を読むことも大切ですが、この授業ではそれ以上に耳を使って演奏することに焦点を当てます。

 要するに、僕は楽器を自分の身体の一部にすることによって、他のミュージシャンと音楽を通じてコミュニケイトできるようになることが最終的なゴールだと思うのです。ソロをとるにしても、ただコードに合わせたスケールを弾くのではなく、コール&レスポンスのように、ひとつのフレーズの後に答えるフレーズが続くように弾くことが重要だと感じています。このようなコンセプトを言葉で表現することは非常に難しいのですが、だからこそ僕は音楽で表現することに興味を持っているのです。

 そういえば、今年の夏もこのようなテーマのクリニックをいろんな学校で行ってきました。プレイを交えて僕のスタイルとアプローチを話すことができて、すごく楽しかったです。最後に、予定ですが、来年の夏には僕のバンドを日本に連れて行くつもりなので、そのときにはクリニックなどでぜひ皆さんとお会いしたいと思います。僕はまだ日本語で教えたことが無いから、どうなるか楽しみです。それではまた来月。 バーイ!